green drinks Tachikawa Vol.3
今回から、FM立川にて絶賛放送中の「東京ウェッサイ」との共同開催になったgreen drinks Tachikawa。放送終了後に、クラウドカフェへお招きし、第2部としてgreen drinksを開催!今回のゲストは、国立の市民農園「国立ファーム」の小野淳さん。
大学で心理学を学んでいた小野さんは、いろんな土地に行ってみたい、自由に自分の信じることをやりたいという思いから、テレビ番組制作会社へ就職する。色んな土地へロケで出かけ、数多くの番組制作に携わる。しかし次第に、番組制作の自立規制の枠を窮屈に感じ始める。テレビがやんちゃだった頃に比べると、制作過程が決まった会社の流れになっていて、これでは面白いものが作れない。高層ビルの会社に勤め、エレベーターで階を上がるにつれ、地に足の着いた仕事がしたいと思うようになる。
番組制作会社に勤めていたときに、フィリピンへロケ取材に行った。その時に、出会ったおじいさんが小野さんを農業の道を導くこととなる。国土がほろびつつある日本で、消費することが仕事であって、子どもができた時に何を教育してやれるのだろうか。農作物を作れる土に戻していかなければいけない。小野さんが30歳の時だった。
その後、全国に居酒屋などのチェーン店を多く構える、ワタミファームの農業事業部へ入社する。ワタミファームでは、チェーン展開する店舗の2割の食材をまかなっているという。ここでの仕事は、スピードが重視されていた。工業ラインは一緒で、どれだけスピードアップができるか。4年間勤め、退社する頃には黒字部門になっていたが、生産性のなさや、農家同士の交流がなかったりと、息苦しさを感じ、またここも小野さんにとって自由にやりたいことが出来る土地ではなかった。
現在、小野さんは国立ファームの農夫である。国立ファームは市民農園である。これまであった市民農園のかたちは、人が畑と向き合いもくもくと作業を続ける孤独なものが多かった。国立ファームでは、農園内でバーベキューが楽しめたり、常に管理ができない人の為に、専門職の人が管理を代行してもらえたり、とても自由に気楽に誰もが農業体験ができるようになっている。そして、都心から車で30分で行けるという、ロケーションの素晴らしさがある。
今回のgreen drink Tachikawaに、国立ファームから取れたてのたくさんの野菜が届けられた。ブドウのような紫色のミニトマト。スイカのように甘いこれは、かぼちゃの仲間でウリ科のスクワッシュ。色が鮮やかな大根は、ピリ辛。そして、国立ファームオリジナル野菜の「ソルトリーフ」。プチプチと海ぶどうのような食感!これがとっても美味しく、みんなから大好評。
取れたての野菜を、特に味付けなどせずにそのまま食べた。どれもこれも、味がはっきりしていて美味しい。大根の辛さは嫌味がなくさっぱりしているので、お酒のつまみにいくらでも食べれそうだった。
番組制作時代に、色んな土地で色んな物を見て触れてきた小野さんは、ロケーションに対する直感力が優れていると感じた。今、国立ファームがある谷保にも小野さんは何かを感じている。「是非、一度来て見てください。来たら分かりますから。」農園内でバーベキューも楽しめるのだから、それはきっと楽しいに違いない。
そんな小野さんは実はすでに新しい夢があった。「実は、千葉の房総で映画館をやるのが夢なんです。映画が大好きなんですよね。」そう語る顔からは力が抜け、優しく微笑んでいた。なぜ房総なのかと尋ねると、不思議とそのロケーションも小野さんを惹きつける魅力があるという。
土地が持つパワーのようなものが実際にあるのかもしれない。しかし、土地のパワーを生かすも殺すも、それは人の手にかかっているのではないだろうか。谷保という土地が、国立ファームによって土地活用され、たくさんの人が訪れるようになって、それはそれは喜んでいるんだろう。だから、作物も生き生きと育ち、大地の恵みを受け暮らす人も生き生きとするのだろうか。
面白い人が集まる場所は、土地が生きる。小野さんの話を聞いていて、そんな事を感じた。